胡蝶の夢(一)~(四) 司馬遼太郎 新潮文庫

胡蝶の夢 司馬遼太郎 新潮文庫


□マイブックミシュラン(星最大5つ)

読みやすい ☆☆☆
心にひびく ☆☆☆
発見がある ☆☆☆☆
ビジネス書 ☆☆☆
人生ヒント ☆☆☆







□しおり

世の中という人間の巣の中に男女がびっしり詰まって生きているが、互いに傷つけあわぬように黙契ができていて、それが言葉、しぐさ、行儀、作法、礼儀、あるいは諸慣習といったぐあいに、互いに共通の文化にくるまって暮らしている。そういう世の中というものが、伊之助にはどうにも適(あ)いにくく、こういう世の中なら、いっそ飛鳥か走獣にうまれてきたほうがよかったと思うことがある。[(二)P384]







□ブログ管理者評

人間はコミュニケーションが取れない者に対して壁を作る。

それは当然だ。意思疎通ができなければ、自分にどのような危害が及ぶかわからないからである。自分の考えが相手にわかり、相手の考えが自分にもわかり、そうして互いに信用しあうことで生きやすくなる。

しかしながら、現実にはこんなことは必ずしも100%うまくいかない。なぜなら人間は完全ではないからだ。

この本の主人公の1人である伊之助は周囲とコミュニケーションが取れない人間だが、実は僕の中にも伊之助がいる。自分が時に傲慢な人間になっていないかを確認する手段として、伊之助に問いかけることが必要ではないか。







□内容

黒船来航で沸き立つ幕末。それまでの漢方医学一辺倒から、にわかに蘭学が求められるようになった時代を背景に江戸幕府という巨大組織の中で浮上していった奥御医師の蘭学者、松本良順。悪魔のような記憶力とひきかえに、生まれついてのはみ出し者として短い一生を閉じるほかなかった彼の弟子、島倉伊之助。変革の時代に、蘭学という鋭いメスで身分社会の掟を覆していった男たち。

⇒アマゾンでこの本のことをもっと知る

↓ここに画像が出ていれば、アマゾンで購入できます!





□作者プロフィール

司馬遼太郎(シバリョウタロウ)
1923-1996。大阪市生れ。大阪外語学校蒙古語科卒。
産経新聞文化部に勤めていた’60(昭和35)年、『梟の城』で直木賞受賞。
以後、歴史小説を一新する話題作を続々と発表。
'66年に『竜馬がゆく』『国盗り物語』で菊池寛賞を受賞したのを始め、数々の賞を受賞。
'93年には文化勲章を受章。“司馬史観”とよばれる自在で明晰な歴史の見方が絶大な信頼をあつめるなか、
'71年開始の『街道をゆく』などの連載半ばにして急逝。享年72。『司馬遼太郎全集』(全50巻)がある。

0 件のコメント :

コメントを投稿