生きて死ぬ私 茂木健一郎 ちくま文庫

生きて死ぬ私 茂木健一郎 ちくま文庫


□マイブックミシュラン(星最大5つ)

読みやすい ☆☆☆☆
心にひびく ☆☆☆☆
発見がある ☆
ビジネス書 ☆
人生ヒント ☆☆☆







□ブログ管理者評

言わずと知れた脳科学の権威、茂木健一郎氏の著書である。テレビでもおなじみの"アハ体験"など一般の人にも馴染みやすい切り口で人気の方だが、この著書も当然斬新な切り口の科学的な展開があると思っていた。

しかし、実際に読み進めてみると、予想はまったく裏切られた。読後の感想としては"面白い"ではなく"興味深い"といえるだろう。それは誰の周りにもある"死"というものを扱ったからに違いない。それ故に科学ではなく哲学寄りな内容になっている。

しかし決して難しい内容ではなく、例えば少年の日の蝶を殺してしまう体験など、少年のような率直な氏の素顔が垣間見せてくれる。数ある氏の著書の中でも貴重な作品であろう。実験や研究に裏づけされた科学書は人を納得させてくれるかもしれないがそこには温度というものは感じにくい。

茂木少年はその優しい語りかけによって心に蝶の鱗粉が静かに積もるような温もりを与えてくれる。







□内容紹介

歓びも悲しみも、そして眼前に広がる世界のあり様も―人生のすべては物質である脳の中の現象にすぎない。ならば、脳とは私にとっての牢獄なのか。脳内現象である人間の心とは何か。この難問に挑むには、自身の脳がとらえた世界をより深く「感じる」ことから出発する以外にない。本書は、怜悧な科学的知性と熱情あふれる文学的感性とを駆使して新たな世界像を描く試みだ。著者の純粋な出発点に位置する記念碑的エッセイ。
(240ページ)

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□作者プロフィール

茂木 健一郎(モギ ケンイチロウ)
1962年生まれ。ソニーコンピュータサイエンス研究所シニアリサーチャー。東京工業大学大学院連携教授。東京大学理学部、法学部卒業後、同大学院理学系研究科物理学専攻課程修了。理学博士。理化学研究所、ケンブリッジ大学を経て現職。「クオリア」をキーワードとして、心と脳の関係を探究している。著書に『意識とはなにか』『「脳」整理法』(以上、ちくま新書)、『生きて死ぬ私』(ちくま文庫)、『クオリア入門』(ちくま学芸文庫)、『脳とクオリア』(日経サイエンス社)、『心を生みだす脳のシステム』(NHKブックス)、『ひらめき脳』(新潮新書)、『脳と仮想』(新潮文庫)など多数。








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