吉里吉里人 井上ひさし 新潮文庫

吉里吉里人(上中下) 井上ひさし 新潮文庫


□マイブックミシュラン(星最大5つ)

読みやすい ☆☆☆☆
心にひびく ☆☆☆☆
発見がある ☆☆☆☆☆
ビジネス書 ☆
人生ヒント ☆☆☆☆






□ブログ管理者評

「こんな小説有りなのか!?」と度肝を抜かれた一冊。枠にとらわれない自由な表現で、井上ひさし氏の世界がページからはみ出るくらいに広がっている。

とある寒村が独立して一国を為すという設定自体が奇抜だが、詳細な設定が現実味を与えてくれる。それでいて時にまた宇宙レベルにぶっ飛ぶ。

評しているこちらがおかしくなってしまう。最初に武装して現れるのは少年兵たちだ。訛りを交えつつも列車の乗客たちを不法侵入により拘束してしまうところから始まり、最後にはサスペンスさながらの謎を解明しようとした主人公が・・・・。

ひょっこりひょうたん島やドン松五郎の生活を手がけた氏のユーモア溢れる、それでいて現代に鋭く切り込む小説世界を日本人なら一度は体験すべきだ!


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□内容紹介

上巻:
ある六月上旬の早朝、上野発青森行急行「十和田3号」を一ノ関近くの赤壁で緊急停車させた男たちがいた。「あんだ旅券(りょげん)ばもって居(え)だが」。実にこの日午前六時、東北の一寒村吉里吉里国は突如日本からの分離独立を宣言したのだった。政治に、経済に、農業に医学に言語に・・・・・・大国日本のかかえる問題を鮮やかに撃つおかしくも感動的な新国家。日本SF大賞、読売文学賞受賞作。

中巻:
吉里吉里国の独立に日本国政府は仰天、自衛隊が出動し、国民の眼はテレビに釘付けとなった。防衛同好会が陸と空から不法侵入者を監視する吉里吉里国では、木炭バスを改造した「国会議事堂車」が国内を巡回、人々は吉里吉里語を話し、経済は金本位制にして完全な自給自足体制。独立を認めない日本国政府の妨害に対し、彼らは奇想天外な切札を駆使して次々に難局を切り抜けていく。

下巻:
独立二日目、吉里吉里国の通貨イエンのレートは日本円に対して刻々上昇、世界中の大企業が進出した。だが国外から侵入した殺し屋や刑事らも徘徊、ついに初の犠牲者が出る。さらに日本国自衛隊も吉里吉里国最大の切り札四万トンの金の奪取に乗り出した。SF、パロディ、ブラックユーモア、コミック仕立て……小説のあらゆる面白さ、言葉の魅力を満載した記念碑的巨編。







□作者プロフィール

井上ひさし(イノウエヒサシ)
(1934-2010)山形県生れ。上智大学文学部卒業。浅草フランス座で文芸部進行係を務めた後、「ひょっこりひょうたん島」の台本を共同執筆する。以後『道元の冒険』(岸田戯曲賞、芸術選奨新人賞)、『手鎖心中』(直木賞)、『吉里吉里人』(読売文学賞、日本SF大賞)、『腹鼓記』、『不忠臣蔵』(吉川英治文学賞)、『シャンハイムーン』(谷崎潤一郎賞)、『東京セブンローズ』(菊池寛賞)、『太鼓たたいて笛ふいて』(毎日芸術賞、鶴屋南北戯曲賞)など戯曲、小説、エッセイ等に幅広く活躍した。2004(平成16)年に文化功労者、2009年には日本藝術院賞恩賜賞を受賞した。1984(昭和59)年に劇団「こまつ座」を結成し、座付き作者として自作の上演活動を行った。







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