漂流 吉村昭 新潮文庫

漂流 吉村昭 新潮文庫


□マイブックミシュラン(星最大5つ)

読みやすい ☆☆☆☆
心にひびく ☆☆☆☆
発見がある ☆☆☆☆☆
ビジネス書 ☆☆
人生ヒント ☆☆☆☆☆







□しおり

その夜、長平は、音吉、甚兵衛の死について儀三郎たちに話した。二人の死因は、第一に鶏肉の干物しか食べなかったこと、第二に洞穴の中で寝そべったりしていて外を歩いたりすることもなかったことであった。その証拠には、音吉たちと々生活をしていた長平も重病人のようになったが、翌年は磯歩きをして魚介類も食べたので体に故障がおこらなかった。「体を動かさぬと、差しさわりが起こる。人間というものは、働かねばならぬようにできているのだ」[P206]







□ブログ管理者評

この小説は、江戸時代の一人の漂流者の記録に基づいて書かれたものらしい。無人島に辿り着いた人間が、10年以上も生き抜いた事実は壮絶である。

その中でも、人間は体を動かさなければ、歩いていなければ、体調がおかしくなり、ついには死に至るという内容には衝撃的であった。

これを読んでからというもの、日々出来る限り歩くことを心がけているのは言うまでもない。情報化社会の現代、みんなに読んでほしい本の第一はこの「漂流」ではないかと思うことが多々ある。







□内容紹介

江戸・天明年間、シケに遭って黒潮に乗ってしまった男たちは、不気味な沈黙をたもつ絶海の火山島に漂着した。水も湧かず、生活の手段とてない無人の島で、仲間の男たちは次次と倒れて行ったが、土佐の船乗り長平hただひとり生き残って、12年に及ぶ苦闘の末、ついに生還する。その生存の秘密と、壮絶な生きざまを巨細に描いて圧倒的感動を呼ぶ、話題の長編ドキュメンタリー小説。



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□作者プロフィール

吉村昭(ヨシムラアキラ)
1927年、東京生まれ。学習院大学中退。66年「星への旅」で太宰治賞を受賞。73年一連のドキュメンタリー作品の業績により第21回菊池寛賞を受賞する。他に「ふぉん・しいほるとの娘」で吉川英治文学賞(79年)、「破獄」により読売文学賞、芸術選奨文部大臣賞(85年)、「冷い夏、熱い夏」で毎日芸術賞(85年)、さらに87年日本芸術院賞、94年には「天狗争乱」で大佛次郎賞をそれぞれ受賞。97年より芸術院会員。2006年7月31日永眠。

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